トラストバンクは昨年3月、「完全リモートワーク宣言」をしました。「オフィスに出社して仕事をする」という当たり前を取り払い、「基本的にテレワーク、必要な時は対面」というスタイルに変わったのです。
場所にとらわれず仕事をすることで、通勤時間がなくなり、他のことに使える時間が増えるなど良い点はたくさんあります。しかし、「同じ職場にいたから声を掛けた」といった気軽なコミュニケーションは減ってしまいました。
これを受け、代表取締役の川村憲一が2月から「ザツダン」という企画を始めました。
★「ザツダン」とは?
・川村社長とメンバーがzoomで15分雑談する(1on1)
・話すテーマは自由
・相手がどんな人なのかを知ることが良いチーム作りの第一歩という考え
筆者(今山といいます)は昨年9月に入社した大学4年の広報渉外部インターン生です。「川村さんは気さくな方だよ!」と聞いてはいたものの、なかなか社長に「ちょっとお喋りしてみたいです」なんて言う勇気がありません…。
舞い込んできたこの企画。「ぜひ参加したいです!」とお願いし、実際に参加してみたので、ルポをお届けします。(※2月15日に実施しました)
指定の時間にzoomに入りました。早速スタートです。
(黄色枠は筆者の心の声です)
川村:今山さんはいつから関わってくれているんだっけ?
今山:昨年の9月からです。卒業論文の代わりにルポルタージュを制作するため、トラストバンクに取材したのがきっかけでした。
川村:ルポルタージュってなに?
今山:調査取材記事というか…自分で現地取材をしてまとめた記事のようなものです。
川村:かっこいいね! 俺も使ってみたい、“ルポルタージュ”って。
今山:記事では「ガバメントクラウドファンディング」について書いていて、広報渉外部に取材したのを機に、インターンのお誘いをいただきました。
川村:なるほどね。ということはもう大学4年生なの?
今山:はい。あと1か月ほどで卒業です。
ほぼ初対面にもかかわらず、とても話しやすいです。フランクに接してくれるので、“社長オーラ”の前に委縮してしまう、なんてことは全くありません。
入社のきっかけや最近のことについて話した後は、私の悩みについても相談に乗ってくれました。
今山:春から社会人になるにあたって不安がいっぱいで…。もし自分がどんなに頑張っても乗り越えられない壁が来たら、川村さんならどうしますか?
筆者は春から社会人。やってやろう!という気持ちの一方、私にできるのかな?という不安が常に渦巻いています。
川村:『関心の輪』と『影響の輪』って知ってる?
今山:いえ、知らないです。
川村:『七つの習慣』(著:スティーブン・R・コヴィー)という本は?
今山:き、聞いたことはあります…。
今度は『関心の輪』と『影響の輪』という話をしてくれました。『七つの習慣』という本に出てくる言葉です。
川村:『関心の輪』というのは、自分が影響を及ぼせない領域のこと。たとえば、「明日雨だ。やだなあ」って考えても、どうにもできないでしょうという話。
今山:確かに…。
川村:そうではなくて、(自分が影響を及ぼせる)『影響の輪』に集中する。私ができることは、「問題を解決できる人がパフォーマンスを発揮できる状況を作ること」だっていうようにね。
常に自分は今何ができるか?という意識を持ちながら仕事をすると良いということですね。
川村:そういうときに何を考えているのかというと、できる人と組むってことだね。ふるさとチョイス事業でいうと、和田さん(★)に執行役員で入ってもらいました。和田さんは解決できる範囲も広いので、彼が120%力を発揮できる環境を作ることが、私の役目でもあります。
★ふるさとチョイス事業本部長で執行役員の和田正弘さん。
和田さんへのインタビューはこちら▼
「新しい変化を起こすのは、課題を自分ごと化する力と熱意」
https://www.trustbank.co.jp/recruit/interview/ma_wada/
川村:そして人と組むということは、一緒にやりたいと思ってもらえないといけない。行動や言動を意識して、自分の『影響の輪』が広がるように人格を高める。そうすると、自分が乗り越えられない時には、乗り越えられる人を連れてくればいいわけだし、それでも無理な時は、納期を延ばして必ず解決する。「諦めずにやり切る『誠実さ』」というTB Value(★)の2つ目につながります。
★TB Value=トラストバンクの行動指針
1)全ての事柄は自分事として捉える「主体性」
2)諦めずにやり切る「誠実さ」
3)思考し、取り組み、改善する「圧倒的スピード」
川村:今まさに私がこの状態です。トラストバンクの代表をやっているけれど、できるからやっているのかというとそうではない。みんなからは、自信をもって前に出て喋っていると思われているけれど、前日に一字一句口に出しては文字に起こして…ということをして、乗り越えているんだよね。
これは少し意外でした。さすがトップ、話がお上手…なんて思っていましたが、その背景には地道な努力が隠されていたのですね。
川村:もう一つは、時間軸を延ばすこと。たとえば、私は“交通事故を無くしたいな”と思っているのだけど、自分ができることは安全に運転するくらいでしょう。でも結局、色々な技術が良くなって、自動運転も生まれて、事故が減るようになっている。やっぱり、自分が興味を持って念じていると、良くなっていくことがあるんだよね。だから、時間軸を今じゃなくて数年先に送ることで、ある意味それが達成されることがあるかなと思います。
考えを放棄するのではなく、ゴールを未来に設定するということだそう。確かに、時間と、自分を含め色んな人たちの成果が積み重なって解決されていくこともありますね。
川村:…という感じかな!
今山:なるほどです。ありがとうございました!
これにて「ザツダン」は終了。あっという間の15分でした。私はお悩み相談をする形になりましたが、話す内容は人によって異なります。ただの雑談をする人もいれば、「こんなことがやりたいんです!」と仕事の提案をする人もいるそう。自由ですね。
そもそも、この「ザツダン」という企画はどのようにして思いついたのでしょうか。
「リモートワークの中、どうやってコミュニケーションを取っていくのかというところで、まず知り合うことがない限りは何も生まれません。そのきっかけをどのようにして作ろうかを考えています」(川村、以下同)
この1年間で100人以上が入社しているトラストバンク。完全リモートワーク宣言後に入社したメンバーもたくさんいます。
「だんだん色々なところから、川村さんと距離が遠くなったとか、話したことがないといった声を聞くようになりました」
リモートワーク下において、会社のメッセージが届いていないという危機感を強く感じたのです。そこで、他の会社がどんなことをしているのかという事例を探していた際、見つけたのが、サイボウズが取り組んでいる1on1ミーティングの「ザツダン」でした。
「サイボウズはチームワークを掲げている会社です。サイボウズの人との話の中で『ザツダン』を知り、いま自分たちが抱えている課題を解決するきっかけになると思ったので取り組みました」
「もっと単純に言うと、たった200人くらいの会社なのに話したことがない人がいるなんてありえないなと思って。これをきっかけにみんなとコミュニケーションが取れると良いなと思います。私もコミュニケーションが好きなのでね」
このほかにも、仮想空間を利用したオンライン飲み会「あたらよ酒場」といった企画も実施しています。バーチャル上の位置関係によって、実際の声の遠近も変わるというまるで本物の飲み会のようなイベントです。YouTubeを見ながらお喋りするなんてこともできます。
トラストバンクは、リモートワーク下でも工夫を凝らして日常的なコミュニケーションが生まれる環境づくりに励んでいることがわかりました。
■執筆:広報渉外部(インターン)今山和々子