2020.10.12

ふるさと納税が広げる「共助の輪」、寄付文化の幕開け

~ お礼の品のない寄付が前年の2.4倍に ~

 「お礼の品がもらえて、税金が控除される」。

 おそらくこれが「ふるさと納税」に対する一般的な印象でしょう。しかし、過熱する返礼品競争の是正を目的とした2019年6月の法改正以降、ふるさと納税をとりまく環境は着実に変わりつつあります。

 そして、その変化は自治体だけではなく、寄付者の感情にも影響を与えているようです。

ⒸiStock

| 「使い道」からの寄付が広がる

 この1年ほどで起こったふるさと納税に関する大きな変化として、寄付金の使い道から寄付先を選ぶことができる「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」の定着と、その効果があげられます。

 GCFは、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングです。2013年に『ふるさとチョイス』がふるさと納税サイトで初めて開始しました。
 
 とくに2020年は、コロナ禍によって医療や文化、観光といったいろいろな領域で地域課題が顕在化しました。その解決のために全国80超の自治体が『ふるさとチョイス』でGCFのプロジェクトを公開したところ、それらの使い道に共感した寄付者からの「意思ある寄付」の総額は、なんと約6億円にも上ったのです。
 
 なかでも北海道の「医療現場支援プロジェクト」は、お礼の品がないにも関わらず、わずか2日間で目標の5,000万円を達成。9割以上が地元在住者からの寄付だったことがわかっています。

(北海道の「医療現場支援プロジェクト」GCFページ)

 また、お礼の品をともなわない「災害支援」でも、今年の7月豪雨の被災地支援に6億円を超す寄付が集まるなど、その認知と活用、支援効果は拡大傾向にあります。

 実際に、トラストバンクが2月、ふるさとチョイスを利用する783自治体から回答を得たアンケートでは、法改正後に前年より寄付額が増えた自治体は6割以上を占めました(下図)。

 ふるさとチョイスを通じたお礼の品をともなわない寄付も、件数では前年比約2.4倍、金額では同約1.8倍に増加しています。

(トラストバンクによる「ふるさと納税に関するアンケート」一部結果)

| あなたの「共感」が、誰かの“ふるさと”を救うかもしれません

 人はだれでも無意識に「良いことをしたい」「人に感謝されたい」と思うものです。しかし、これまでは「ふるさとの力になりたい」「困っている地域を支援したい」といった想いを、具体的な行動に移す方法が身近にありませんでした。

 そうしたなか、ふるさと納税による「共感」や「納得」を根拠とした寄付が、支援の想いを形にする有効な選択肢になってきていると考えられます。
 
 「地域の力になれた」。

 そんな納得感や満足感がつぎの寄付につながれば、「共助の輪」のように寄付文化が広がっていくことも期待できます。その輪は、あなたや誰かのふるさとがもっと元気になることにも、つながっていくのではないでしょうか。

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