トラストバンクの「人」に焦点をあてた本シリーズ「トラストバンクの人」。
今回は「chiica」のカスタマーサクセス菅野和也さんにお話を伺いました。
chiica(チーカ)とは:
トラストバンクが提供する地域通貨プラットフォーム。
人口減少や域外消費の増加で経済基盤が弱体化する地域において、地域通貨は地域経済を活性化するツールとして注目されています。
chiicaで発行される地域通貨は、域内限定・有効期限付きのため、消費の域外流失を防ぎ、地域内での経済循環を生みだします。住民や事業者、行政をつなぐプラットフォームとして、地域のDX化促進、人口増加、税収向上など、地域課題の解決を地域と一体となって目指しています。
菅野 和也
福島県福島市出身、宮城県在住。大学ではデザイン系学部でUI/UXを専攻し、卒業後はウェブサイト制作会社でウェブデザイナー・ディレクターを経験。その後、スマートフォン向けコンテンツ事業を展開する会社で営業職にキャリアチェンジし、自治体向けに子育て支援アプリの新規営業を担当。自治体の地域課題解決に貢献したいという思いから、2023年5月にトラストバンクへ入社。現在はchiica統括部にてデジタル地域通貨「chiica」のカスタマーサクセスを担当。
——まず、菅野さんがトラストバンクに入社した理由を教えてください。
前職で東北地方の自治体様に対して営業活動をしていく中で、自治体様の深刻な課題を実感していました。過疎化や人口流出の話をよく聞き、財政難でやりたいことができない、充実した住民サービスができないといった実情を目の当たりにしていたんです。東北は特に人口減少が進んでいて、新規事業をするための「お金がない」ということを直接的に言われることも多く、予算が取れなかったり、住民サービスとして提供できないという状況をよく見ていました。
トラストバンクは、「自立した持続可能な地域をつくる」ことをミッションに、自治体様の課題解決や価値創出に本気で向き合っている会社です。前職のように、数ある事業の1つとして自治体向けの支援事業を行うのではなく、全ての事業が、自治体や地域の事業者様と共に、地域創生に取り組んでいくという事業形態に魅力を感じました。トラストバンクであれば、自分が課題として感じているものを根本的に解決できる仕事ができるんじゃないかと思って入社しました。
また、よりやりがいと挑戦しがいのある環境でチャレンジしたいと思ったことも大きな理由です。前職では、自治体様からサービスの改善要望を直接聞くにも関わらず、開発に共有するということもなく、とにかく今あるサービスを1件でも契約してもらうのが最大のミッションでした。「売って終わり」ではなく、提案したサービスをどう活用し、その先の住民の方の笑顔に繋げられるか、本当の意味で「地域と伴走できる」環境で取り組みたいと思ったんです。
働き方の面でも、リモートワークができるというのは大きな魅力でした。前職では出張続きの生活で、未就学児の息子がいる身としては環境を変えたいという思いがありました。今は地域に在住していますが、都内を含めた出張が月に2、3回程度で、子どものお迎えもできるし、家で過ごす時間が増えたのはとても良いことだなと感じています。
——トラストバンクではどんなお仕事をされているのですか?
現在は、カスタマーサクセスとして、「chiica」を導入・運用いただいている自治体様への伴走支援を行っています。現在は4人のチームで全国38自治体のカスタマーサクセスを担当し、1人当たり約10自治体を受け持っています。
具体的には大きく3つの業務があります。
1つ目は、chiica導入の際のオンボーディングです。アプリや管理ツールの操作研修の実施や事業者様への説明会に参加するなど、導入から運用開始の立ち上げを自治体様と一緒に行います。
2つ目は、自治体様への活用提案やコンサルテーションです。「chiica」は地域通貨プラットフォームですので、活用方法は自治体様によって異なります。自治体様とは定期的にミーティングをするのですが、その際に他自治体様の活用事例の紹介や、地域通貨を活用した施策の企画、効果測定、分析の結果をお伝えしています。
自治体様には最初に「地域通貨で何をしたいか」をヒアリングするのですが、本当に様々なんです。例えば、域内でお金を回したい自治体はもちろん、住民の方にSDGsの意識を持って取り組んでほしい、健康意識向上のためにウォーキングや健診を促進したい、キャッシュレス決済の促進や住民のスマホ保有率を上げたい、昔からある地元のお店の事業者支援を一番にやりたい…、といった具合に多様な課題と目的があります。そのニーズに合わせて、より全庁的に活用いただいたり、利用機会を増やしたりするための提案も行います。
また、コロナ禍では「デジタル商品券」としての導入が多かったのですが、デジタル商品券として活用して終わりではなく、これまで現金で支給していたような給付金事業など、chiicaを活用することで業務効率化・行政DXにもつながるような活用方法を提案しています。
3つ目は、既存自治体様からの問い合わせ対応です。実施予定の施策のご相談やポイントプログラムの作成などのサポートを行っています。
この業務以外にも、サービス開発に直接関わることができています。自治体様からのご要望を収集してプロダクト開発チームに上げ、一緒にサービスを作っていくんです。今日も新機能の操作説明で、部内全員で実際に触ってみて確認する打ち合わせがありました。エンジニアとの距離も近く、新機能の要件定義まで首を突っ込むことができるのは、この事業ならではだと思います。
新機能の打合せ時
——実際に、そんな仕事において大事にしていることややりがいは?
普段は仙台にいてリモートワークをメインとしているので、チャットツールでテキストベースのコミュニケーションを取ることが多いです。そのため、自分の考えや伝えたいことを間違って取られないように、伝える文章には特に気を付けています。対面でのやり取りと違って、文字だけでは誤解を招きやすいので、この点は常に意識していますね。
やりがいは、実際に住民の方のお買い物でchiicaが使われているところを見た時に強く感じました。特に印象深かったのは、群馬県片品村のスーパーでお店の方やお客様にインタビューをした時のことです。これはTV取材に同行した際のことで、数時間スーパーにお邪魔してお客様の声を取材したのですが、キャンペーン中だったこともあり、ほとんどのお客様がchiicaを使われていて、自分でも衝撃を受けたのを覚えています。
そして、住民の方のお声にも感動しました!「地域のお手伝いをしてポイントがもらえるのが嬉しい」「お得にお買い物できるだけじゃなく、住民同士の交流のきっかけになる」「地域通貨を使えば地域も潤うし、お店への応援にもなるんでしょう。だから使っています」といった、本当に素晴らしいコメントをいただきました。住民の方が地域への還流というところまで意識、理解して使ってくださっているのを見て、その地域にとって良い影響を与えられているんだなと実感できました。
——部署やチームの雰囲気を教えてください。
chiica事業部としては、良いメリハリがあり、みんな仲は良いですが、仕事はキッチリするというタイプの方が多い印象です!リモートワークがメインのため、どうしても一人で仕事しがちになってしまうので、毎朝zoomで事業部全員でミーティングをしています。これは30分程度の連絡事項共有会ですが、チームメンバーの状況も把握できますし、自身の相談事もあげやすいので、チーム運営が上手くいっている要素の1つになっていると思います。
チームとしては各自治体の担当者はいるものの、チーム全体で業務に取り組んでいます。事例の紹介や提案も、1人で頑張ればいいというわけではなく、チーム内で情報を共有して、みんなでより良い活用を広げていく取り組みをしています。
また、数ヶ月に1回、オフィスに集まって会議や懇親会をすることもあり、メンバーと顔を合わせる機会も結構あります。私も月に数回は仙台から出社して、自治体様へ訪問したり、オフィスで業務をしています。完全リモートだと家の外にも出ないタイプなので、出社は良いリフレッシュになっています。
ただし、部内の体制や仕組みはまだまだ整備しなければいけないことも多く、少数精鋭のチームのため「自分の業務だけやっていればいい」みたいなことはありません。一人一人が主体的に考え、実践していかなければいけない環境です。今は体制やカスタマーサクセスの「型」を全員で必死に考えて作っている状態なので、まさに産みの苦しみと楽しさを味わいながら働いています。
——どのような方と一緒に働きたいですか?
自発的な方ですね。今いろいろ作っていっている段階なので、受け身というよりはアイデアを積極的に出してくれる方がいるとすごく嬉しいです。今は本当にサービスも組織もまだまだなので、入社後は驚くことも多いかもしれません。でも逆に、サービスを作り上げることに挑戦できる環境でもあります。経験者の方にとっては、今までやってきたことを一から設計として落とし込める、まさに自分たちが本当に自治体様のためにこうあるべきというサービスを作るところから始められる環境だと思います。
——今後の目標はなんですか?
chiicaを地域で一番使われる決済ツールにすることです。先ほど話した片品村でその光景を見てしまったので、この意義をもっと伝えていきたいと思っています。
chiicaは域内の経済循環だけでなく、使い方によって自治体職員様の事務コストを削減できたり、地元のお店の売上や来客を増やすきっかけを作ることもできます。利用者は地域のごみ拾いや健康診断、ウォーキングといった健康活動などの地域の取り組みに参加することでもポイントを手に入れることができるので、住民、加盟店、自治体とまさに三方良しのサービスです。まだまだ使うメリットが分からないとか、キャンペーンの時はお得になるからチャージするけど、それが終われば全く使われないという課題も実際あります。そこをどう打開していくかが重要で、日常の決済として浸透すれば、より地域通貨というのは意義あるものになると思います。
地域通貨の利用を通して、住民と加盟店、自治体それぞれとのコミュニケーションも広がります。そんな地域の姿を目指して、自治体様のお手伝いをしていきたいと思っています。
——ありがとうございました!