2025.09.12

令和を駆ける情熱のIT最前線【後編】システムは「人」のためにあり!──情報システム部が描く未来の働き方

令和を駆ける情熱のIT最前線【後編】システムは「人」のためにあり!──情報システム部門が描く未来の働き方

地味な仕事が支える「当たり前」:印象的なエピソードとプロ意識
前編では、情報システム部門の「攻め」の姿勢と、山下さんが培ってきた「総合力」についてお伝えしました。後編では、山下さんのキャリアを彩る印象的なエピソードや、社内コミュニケーションへの想い、そして未来への展望に迫ります。

山下さんのキャリアの中で特に印象に残っているのは、地味ながらも社会のインフラを支える仕事に携わった経験です。かつて通信会社のSEとして、冬の吹雪の中、スキー場の山小屋に通信用端末を設置したり、山中に携帯電話のアンテナを建てる工事に立ち会ったりした経験は、現在の仕事の原点となっています。
「大吹雪の中、みんながスキーで遊んでいる時に、リフトを使って山を登っていくんです。そういう地味な仕事があるからこそ、スキー場の山小屋でもWi-Fiが繋がる。普段、皆さんが当たり前に使える通信やシステムは、決して当たり前じゃないんだと、身をもって実感しました。」
携帯電話がどこへ行っても繋がる、その「当たり前」の裏には、山や海、そして沖縄の離島にまで、地道な努力でアンテナを設置してきた人々の積み重ねがある。この経験は、山下さんの仕事への価値観を深く形成しています。「当たり前」を支える「当たり前じゃない努力」を知るからこそ、現在の情報システム部門の仕事にも、揺るぎないプロ意識を持って向き合えているのです。

また、トラブル対応に関するエピソードでは、過去の経験として、前任者が退職してしまったプロジェクトを引き継ぎ、立て直した経験が強く印象に残っていると語ります。特に、ある生命保険会社の社内システム刷新プロジェクトでは、チームメンバーが次々と離脱していくという、衝撃的な状況に直面しました。
「4月に8人チームで始まった案件が、月末には2人抜け、ゴールデンウィーク明けにはリーダーが失踪。その後も次々と人がいなくなり、最終的には私が一人で全てを巻き取ることになったんです。」
このような極限状況での経験が、山下さんのプロ意識を一層強固なものにしました。「崩壊」寸前の状況を一人で支え続けた山下さん。華やかではないかもしれないが、会社を支える重要な役割を、地道に、そして確実に果たしてきた経験が、山下さんの現在の仕事への誇りとなっています。

「もっと気軽に相談してほしい」:情報システム部門が求める社員の「心持ち」

山下さんがトラストバンクのメンバーに最も伝えたいこと、それは「もっと気軽に相談して欲しい」というメッセージです。情報システム部門は、単なるヘルプデスクではありません。社員からの問い合わせの背景にある「本質的な課題」を理解し、最適な解決策を提案する「コンサルタント」としての役割も担っていると考えています。
「自分で答えを出す前に、『こういうことで困っているんだ』というくらいのレベル感で良いんです。そこから、私たちはヒアリングを通じて、皆さんが本当に解決したい課題を特定し、もしかしたら皆さんが考えている以上の最適な答えを提案できるかもしれません。」
よくあるのが、「こういうシステムを入れたい」という相談。しかし、その目的を深掘りすると、既存のシステムで対応可能だったり、別のシンプルな方法で解決できるケースも少なくないと言います。
「大切なのは、困り事を漠然とした段階で相談してもらうこと。私は、かつてお客様の課題をヒアリングし、改善策を提案してきた経験があるので、その段階で相談してもらえれば、こちらから最適なソリューションを提案することができます。」

社員側からすると、「何も考えていないと思われたくない」という気持ちから、ある程度解決策を考えてから相談しがちかもしれません。それもとても大事な事だとは思いますが、しかし、山下さんは「無邪気な質問の方がむしろありがたい」と語ります。手前で相談してもらうことで、より効率的かつ最適な解決策を導き出し、結果的にはスピード感や精度も上がり、会社全体の生産性向上につながるはずということです。
「とは言えオンラインでのコミュニケーションが中心の今、気軽に立ち話をするような感覚で相談しにくいのは理解できます。しかし、本当にそのレベルで構わないんです。むしろ、その方が私たちも提案しやすいし、お互いにとって良い結果につながるはずです。」
また、情報システム部門のメンバーへの「感謝の気持ち」も、山下さんが大切にしている点です。プロとして成果を出すことは当然ですが、やはり「人」と「人」のコミュニケーションが円滑な業務遂行には不可欠です。
「対応してもらったら、『ありがとう』の一言を伝えてもらえると、対応する側としても、『今度も優先的に対応しよう』という気持ちになります。システムはあくまでツールであり、その先には人がいる。システムに関わる全ての人が、互いにリスペクトし合う関係性を築くことが大切だと思っています。」

未来を見据える情報システム部門:生成AIが拓く新たな可能性

最後に、今後の展望について山下さんに伺いました。現在、最も注目しているのは「生成AI」の活用です。
「生成AIは、情報システム部門にとって避けては通れない道です。これを活用し、自分の仕事をアップデートしていかなければ、3年後、5年後には大きな差がついてしまいます。」
生成AIを導入する目的は、コスト削減や人員削減ではありません。効率化によって生まれた時間を、本来情報システム部門が集中すべき「本質的な仕事」に充てること。それが、山下さんが描く未来の姿です。
「環境は整えましたが、まだ社員の皆さんが積極的に生成AIを活用しているかというと、そうではないのが現状です。今期は、生成AIを使うことでどれだけ仕事が便利になり、効率化できるかを理解してもらい、積極的に活用してもらえるような環境を推進していくことが重要だと考えています。」

山下さんの言葉からは、情報システム部門が単なる裏方ではなく、会社の未来をITの力で切り拓く、攻めの姿勢が強く感じられます。
「結局、一番本質的なところで目指すべきところは、地域の可能性を創造することだと思うんです。トラストバンクがどうアプローチし、どう事業を進めていくか。そこに対して、情報システム部門も同じ方向を向いて、ITの力で貢献していきたい。」

山下さんのこれまでの多様な経験と、システムの先に「人」を見据える視点。そして、地道な努力と情熱が、トラストバンクの「当たり前」を支え、未来を創造する力となっていることが、今回のインタビューを通じて強く伝わってきました。情報システム部門の「攻め」のIT戦略が、これからもトラストバンクの成長を力強く後押ししてくれることでしょう。

山下 陽一(やました よういち)

長野県上田市出身。
大学卒業後、東京ではPG/SEとして主に金融システム開発に携わり、プロジェクトマネージャとして従事。
その後Uターンし、製造業の情報システム部門で「ひとり情シス」としてDX推進やISMS運用、ネットワーク構築(WAN/LAN)、基幹システム導入などを経験。
「地域の可能性を共創する」姿勢に共感し、2024年にトラストバンクへ入社。
情報システム部として、運用インフラ領域を主に様々な業務に関わる。

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