企業の成長を加速させる上で、ITの力は不可欠です。しかし、システムが当たり前に動く裏側には、日々の地道な努力と、時にトラブルと格闘する熱い情熱があります。今回は、当社の情報システム部門を牽引する山下さんにインタビュー。
システム運用の最前線で何を見据え、どのような想いで仕事に取り組んでいるのか。令和の時代に求められる「スマートさ」と、仕事の本質にある「情熱」に迫ります。
山下 陽一(やました よういち)
長野県上田市出身。
大学卒業後、東京ではPG/SEとして主に金融システム開発に携わり、プロジェクトマネージャとして従事。
その後Uターンし、製造業の情報システム部門で「ひとり情シス」としてDX推進やISMS運用、ネットワーク構築(WAN/LAN)、基幹システム導入などを経験。
「地域の可能性を共創する」姿勢に共感し、2024年にトラストバンクへ入社。
情報システム部として、運用インフラ領域を主に様々な業務に関わる。
「当たり前」のその先へ:情報システム部門が担う「攻め」のIT戦略
情報システム部門と聞くと、皆さんはどのような仕事を思い浮かべるでしょうか。「システムトラブルの対応」「パソコンのセットアップ」「ネットワークの管理」…これらは確かに情報システム部門の重要な役割の一部です。しかし、山下さんは言います。「それは最低限クリアすべき『守り』の仕事。情報システム部門の真価は、そこからいかに『攻め』に転じられるかにある」と。
山下さんが現在担当されているのは、社員の皆さんが日常的に利用するシステム、Microsoft Office、ネットワークの保守、そしてPCやスマートフォンといった機材の維持管理など、多岐にわたります。日々の問い合わせ対応こそが最も基本的な業務であり、「守り」の部分を確実にクリアすることで、初めて「攻め」へと移行できると強調します。
「守りはできて当たり前。その上で、会社全体の生産性をITの力でいかにブーストさせるのかが、攻めの情報システム部門の仕事です」と山下さん。ITを駆使して業務効率を向上させ、会社全体の付加価値を高めていく。この視点こそが、山下さんの仕事の根幹にあります。
地味だからこそ価値がある:ドキュメンテーションと違和感の重要性
「地味なんですけどね、結局そこなんですよね、行き着くところって」 山下さんが「特に重要だ」と語るのは、ドキュメンテーションの徹底です。情報システム部門が取り扱うシステムは膨大であり、それらを個人の知識に依存していては、属人化が進み、品質の維持が困難になります。誰が見ても理解できる形で情報を残すことで、サービス品質を一定に保ち、もしもの時にもスムーズな引き継ぎや対応が可能になります。これは、日々の業務を円滑に進める上での「基本中の基本」でありながら、最も課題意識を抱えている部分だと言います。
「ドキュメントをきちんと書き、証跡を残す。地味な作業ですが、最終的には自分自身の助けになるんです。私だけでなく、社内全体にこの意識が浸透して欲しいと思います。」
そして、もう一つ山下さんが強調するのは、「感覚的な違和感」の重要性です。トラブルシューティングにおいては、ログの確認などロジカルなアプローチが基本中の基本ですが、それだけでは見つけられない問題や、より本質的な改善につながるヒントが、人間の直感から生まれることがあると言います。
「システムを見るのではなく、システムの先にいる『人』を見て仕事をするべきだと思っています。問い合わせが来たとしても、その内容をそのまま表面で処理するだけでは、本当に解決したい課題にたどり着けないことがある。質問者の言葉の奥にある本質的な意図を汲み取ることが、本当に課題を解決するために必要なんです。そのためには、経験に裏打ちされた直感や感覚が非常に重要になります。」
この言葉は、まさにAIが発達する現代において、人間だからこそ持ち得る価値を示唆しているようにも聞こえます。単なる情報処理に留まらず、相手の真意を理解しようとする姿勢と、長年の経験から培われた「違和感」を大切にする。これこそが、山下さんのプロ意識の表れと言えるでしょう。
予想外のキャリアパス:システム愛が育んだ「総合力」
システムへの深い洞察と、ユーザーへの寄り添い。山下さんのプロ意識は、どのように培われてきたのでしょうか。意外にも、山下さんはずっと情報システム専任だったわけではないと言います。
新卒で東京に出てシステム開発の仕事に従事した後、Uターンで地元長野県に戻ってきてからは、実に多様なIT関連の仕事を経験してきました。通信会社の営業職兼SE、ネットワークエンジニア、テスターなど、ビジネスサイドからインフラ、開発まで幅広い分野を経験。これらの経験が、現在の情報システム部門の仕事にまさかの形で活きていると語ります。
開発の知識も、ネットワークの知識も、そして営業として顧客と向き合ってきた経験も、すべてが現在の山下さんの強みとなっています。社内からの問い合わせや他部署の業務内容も、それぞれの立場から想像できるため、より的確な状況把握と対応が可能になっているのです。情報システム部門に配属されたのは、前職で担当者がいなくなったことがきっかけだったというから驚きです。
「立派に情報システム部門の仕事をしていたわけではないんですよ。ただ、ITの仕事は長くやっていました。そして、様々な分野と領域で多岐にわたる経験をしてきたことが、結果として情報システム部門という『総合力』が求められるポジションにぴったりとハマったんです。」
この多様な経験こそが、山下さんがシステムの向こう側にいる「人」を深く理解し、その課題の本質を見抜く力に繋がっているのでしょう。
■ 次回予告:
後編では、山下さんがこれまで経験してきた印象的なエピソードや、社内コミュニケーションへの想い、そして情報システム部門が描く未来の展望について、さらに深く掘り下げていきます。お楽しみに!