2020.10.12

「持続可能な地域」のビジョン実現へ、組織体制をチェンジ=新たな会長と代表取締役の就任ドキュメント(前編)

| 「遊撃軍」と「本軍」

2019年12月25日午後5時、トラストバンク本社(東京・目黒)のオープンスペース。
ふるさと納税が1年で最も盛り上がる年末を直前に控え、創業者で当時の代表取締役(現・会長兼ファウンダー)須永珠代から全スタッフ約200人に向けて発表があった。

須永
「普段からトラストバンクの『自立した持続可能な地域をつくる』というビジョンを実現するには、『ふるさとチョイス』だけではなく、さまざまな事業をする必要があると言ってきた。今後、どんな体制でみんなと一丸となってやっていくのが最もいいのか話したい」。

「こういう形にしたいと思っています」。

そういって「須永の今後の役割」と示したのは、「遊撃軍」「本軍」という二つの体制が描かれたスライド。

(実際に映し出された「遊撃軍」と「本軍」のスライド)

須永は少数精鋭チームの「遊撃軍」で新しいサービスを生み出し、「本軍」が拡げていくという構想だ。
(これは、今ハマっている中国・春秋戦国時代がモデルの某人気漫画『K』からヒントを得たそう)

須永
「私自身が新しいサービスや事業を作ることを得意としているので、少数精鋭でスピーディに色々と手掛けていきたい」。

では、「本軍」はどうなるのか?
すると、トラストバンクを巡るこの1年間の“変化”をスライドでたどり始めた。

2018年11月、東証1部上場チェンジのグループ会社化で新しい企業体。2019年5月平成から令和への新しい時代、6月ふるさと納税の法改正による新しい市場環境、10、11月北海道とエストニアに開設した新しい拠点。

そして、2020年1月「S→K」。

(実際に映し出された「S→K」のスライド)

新しい代表取締役への“変化”を表す「(S)須永珠代→(K)川村憲一」のことだ。

須永から取締役の川村に社長のバトンを渡すことが、社内で初めて明かされたのだった。新たに須永が会長兼ファウンダー、川村が代表取締役に就くことになった。

| それぞれの強みを生かして組織体制を強化

突然の発表に静まる会場。驚きを隠せないスタッフたちを前に、川村がこう伝えた。

川村
「なぜ、私はトラストバンクにいるのかを振り返りました。そこには『自立した持続可能な地域をつくる』というビジョンを一緒に実現させたい。さらに、共に仕事をしてきた仲間の成長に関わりたいという想いがありました」。

川村は、2016年にふるさとチョイスCafé(東京・有楽町)の店舗オープンを支援したことがきっかけで、トラストバンクに参画。ふるさとチョイス事業や地銀との提携などアライアンス事業の統括を務め、2019年に執行役員、取締役となった。

川村
「正直、1か月くらい悩みました。『須永さんの代わりになれるのか』と。3年前に参画してから一緒にいる時間が長かった分『こういう場面で、須永さんなら何て言うかな』と考えてしまうんですね。すると、自分とは異なるわけです。すごく視座の高いところからだったり、斜め45度からだったりの意見が飛んでくる」。
 
「らちが明かないので、思い切って須永さんに相談しました。そこで言われたのは『比べても意味ないよ。比べた瞬間に、自分の良さや強みが消えちゃうよ』『やってみないとわからない』。この言葉で吹っ切りました」。
 
「改めて、自分の“強み”は何か。一人ひとりが能力を発揮できる環境やチームをつくることだと。これは私一人ではなく、みんなの力を信じてこそ役割を果たせるんだと決意し、この場に立ちました」。

 イノベーションを強みとする須永が「遊撃軍」で0を1に、経営やマネジメントを強みとする川村が「本軍」で1を10にする。
 
さまざまな変化を経験してきたトラストバンクにとって、新たな組織体制は「自立した持続可能な地域をつくる」という変わらないビジョンを実現するために必要な、次なる“変革”だった。

(新たな組織体制を発表した須永(左)と川村(右)=2019年12月25日、トラストバンク本社)

後編では、記者会見で語られた今後の取り組みなどについて紹介する。

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