2021.10.18

「地元福島を盛り上げる」コロナ禍の老舗うなぎ屋を救った彼には、人生を掛けた目標があった

地域の資源を活用し、至高の逸品となる特産品を開発する男に、俺はなる!!

社内の自己紹介ページで、一際目を引くこのひと言。トラストバンクのメンバーに、こんなアツい想いを持つ角田圭也さんがいます。

ふるさとチョイスのお礼の品の開発や事業者支援をする部門でリーダーを務める角田さん。彼はこの春、福岡県柳川市にある老舗うなぎ料理屋・本吉屋さんとふるさと納税のお礼の品の開発に取り組みました。

340年の伝統を誇るうなぎ屋が、コロナ禍で初めてふるさと納税の活用に挑戦する。その裏側にどんなストーリーがあったのか。そして、海賊王並みのアツい心の源はどこからきているのか。

角田さんに本吉屋さんとの取り組みや仕事観、地域への想いについて聞きました。

ふるさとチョイス事業本部マーチャンダイジングチーム・角田圭也(福島県塙町出身)
企業のECやマーケティングコンサル、農協・農家支援事業などを経て、2018年にトラストバンクに参画。地域の名産品ECサイト「めいぶつチョイス」(※閉鎖)の運営統括やふるさとチョイスの商品企画チームを経験し、現職。「みんなの兄貴」として慕われる。

目次

・創業以来最大のピンチをどう乗り越えた?
・いかに”前のめり”な事業者を増やすか
・100人で50億より、5人で10億のビジネスをやったほうが面白い
・地域への想いの根源は11年前にさかのぼる
・教育格差がなくなれば、面白い人は地域でもっと増える

創業以来最大のピンチをどう乗り越えた?

(本吉屋10代目の本吉勉さん、角田さん、専務取締役の一安健太郎さん)

――まずは本吉屋さんとの取り組みの経緯を教えてください

親会社チェンジの代表の福留さんから「(本吉屋さんが)コロナの影響を受けて困っているので、話を聞いてきてほしい」と紹介されたことがきっかけです。

本吉屋さんは「お客さんが激減し、創業340年の中でも過去一番のピンチ。お客さんを待つのではなく、こちらから商品を送らないといけない」と話していました。

ふるさと納税は事業者さんにとって始めやすいツールです。お礼の品の開発費用はかかりますが、通販サイトでかかる固定費や手数料がないのでECに比べてリスクが低いんです。

さらに、ふるさと納税は通販で必要なノウハウの勉強にもなります。ふるさと納税ができればその先のECにも挑戦できるので、本吉屋さんがふるさと納税を活用するお手伝いをしました。

具体的には、お礼の品のコンセプトを設計したりデータを使ってマーケティングしたりしました。お礼の品の開発の際はレビューもしました。

本吉屋看板メニューの「せいろ蒸し」はうなぎの下にご飯が敷いてあり、冷凍で送った場合のご飯の解凍方法に苦労しました。そこで、テスト品を作って試食し、一緒にブラッシュアップをしていきました。

(福岡県柳川市の老舗うなぎ屋・本吉屋と開発したお礼の品)

いかに”前のめり”な事業者を増やすか

――事業者さんと仕事をする上で意識していることはありますか

本吉屋さんのケースだと、ブランドを傷つけないことですね。本吉屋さんは、財界のキーマンが使うような品格あるお店です。私もお店で食べましたが、最高に美味しい。ふるさと納税で届いたうなぎを食べた人が期待外れになってしまわないよう、味の品質を保つことにはこだわりました。

また、本吉屋さんが今までインターネット販売をしたことがなかったので、そうした情報はかみ砕いて丁寧に説明していきました。

(本吉屋さんの看板メニュー「せいろ蒸し」)

――他の地域の事業者さんもネットに慣れていない方は多いのでしょうか

大多数が慣れていないと思います。ふるさと納税に消極的な事業者さんが多いことも事実です。

ふるさと納税を“一つのチャンス”だと前のめりに捉えている事業者さんはまだ少数派です。そういう前のめりな人たちは、ふるさと納税を活用してどう自分たちをPRするのかを考えていますね。


――そこにふるさとチョイスはどうアクションを起こすのでしょうか

たとえば、事業者勉強会を開いて「ふるさと納税を活用すると、自分たちの努力次第ではビジネスをこう発展できる」と伝えます。PR方法などについての個別相談を受け、アドバイスもします。

100人で50億より、5人で10億のビジネスをやったほうが面白い

――これまで歩んできたキャリアについて教えてください

15年間、企業の通販・EC事業支援に携わってきました。その後、農協系の団体に出向し、全国の農協を相手にインターネットを活用した販路拡大のサポートをしました。

トマトを作ることしか考えていない人や、すごく美味しい果物を作るのに全く売り方を考えていない人が結構いて。「せっかく良いものを作っているので、それを売るためにネットを活用していきましょう」と一緒に仕事をしていました。

独立して自分の事務所を立ち上げ、全国の地域の農協や事業者にネットの活用支援をしているなかで、トラストバンクに業務委託で参画しました。

(前職のセミナーで話す角田さん)

――トラストバンクではこれまでどんなお仕事をしてきましたか

最初は「めいぶつチョイス」という特産品の通販サイトを担当していました。しかし、計画していた事業にするのが難しくなり、クローズすることになりました。それからは、商品企画の部門で地域の事業者支援をしています。

振り返ると、相手が農協から地域の事業者さんに変わっただけで、やってきたことは変わらないですね。前職では大企業の通販支援をしてきましたが、それ以上に地域の事業者こそが通販を活用するべきだと感じています。

「100人で50憶のビジネスをやるより、5人で10億のビジネスをやる方が面白い」とずっと思っています。地域の事業者さんを盛り上げたいという気持ちは、トラストバンクに入社する前からありましたね。


――現在はどんな仕事をしていますか

ふるさとチョイスに掲載されている37万点以上のお礼の品の魅力拡大や品物の改善です。事業者さんには、品の魅力を伝えるための支援をしています。

最近では、事業者を応援するプロジェクトが動いていています。「チャレンジ応援品」や「地域応援プロジェクト」など、ふるさと納税を事業者のビジネスに活用できるプロジェクトを企画しています。

こうした活動をするうちに、地域の事業者さんにとって私たちが相談窓口のような立ち位置になるので、ふるさと納税関係なく事業者さんの課題解決を広くお手伝いしています。将来的には、ふるさと納税以外のソリューションでも事業課題を解決できるようなサービスを作りたいです。

地域への想いの根源は11年前にさかのぼる

――角田さんは、なぜそこまで地域への想いが強いのでしょうか

僕は福島県出身で、11年前に東日本大震災がありました。震災当時、周りの農家やお世話になった事業者がみんな苦しんでいたんです。1つは人がいなくなったこと。2つ目は放射能の問題で、福島県産のものが受け入れられなくなってしまったことです。

僕は東京で働いていて、福島には帰らないだろうと思っていました。しかし、震災があって地元の活気がなくなっていくのを目の当たりにし、福島に貢献したいと思うようになりました。震災をきっかけに、僕の将来のビジョンが「福島の復興」になったんです。

地域の事業者さんたちと仕事をして得た成功体験や方法を福島に還元できたら、福島をもっと盛り上げられるのではないか。トラストバンクが目指す持続可能な地域のモデルを学べば、将来的に福島に還元できるのではないか。そんなことを考えています。

過去も今の仕事も、自分が将来やりたいことに繋がっているんです。

(前職で地域の特産品を紹介する冊子ページを編集する様子)

教育格差がなくなれば、“面白い人”は地域にもっと増える

――今後、トラストバンクでどんな仕事をやっていきたいですか

難しいと思いますけど、ヒット商品みたいなものを作りたいです。マーチャンダイジングチームは、将来的には商品開発をやっていくチームになる予定です。ヒット商品を量産できるチームにしていきたいですね。

そのためには、商品の目利きや裏側にあるストーリーの発信が必要になってきます。その意味でいうと、今回の本吉屋さんは良い事例になりました。


――では最後に、ご自身の野望を教えてください

実は、子供たちの教育について課題感があります。僕はたまたま東京の大学に進学しましたが、周りは地元の高校で終わる人が大半でした。

高校までの教育で、地域と都心の教育格差は大きい。その教育格差が縮まれば、もっと面白いことを考えられる人間が地域に出てくるのではないかと思うんです。

とくにコロナ禍で窮屈な生活を強いられている子供たちに対して、教育的な事業ができればいいなと思います。何よりも、福島で生まれ育った子供が、ちゃんと福島のことを好きだと思える。そんな状態をつくりたいですね。

(TBbaseのzoomインタビューに答える角田さん)

~ 編集後記 ~

地域へのアツい想いを持ち、お礼の品の開発を手掛ける角田さん。その想いの裏には「地元・福島の復興」という大きな目標がありました。

通販の支援事業で長年培ってきた経験やノウハウ。そして「地域を盛り上げたい」という強い気持ち。両者が掛け合わされた結果が、今回の本吉屋さんとの取り組みに結びついたのだと感じます。

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